フェイスブックは米国時間6月17日、プラットフォーム上に投稿されるすべての動画を「リール」として扱う方針を明らかにした。この刷新により、従来はフィード動画とリールに分かれていた投稿形式が一本化されることになる。

今回の変更点は動画の長さやアスペクト比、縦横の向きにかかわらず、自動的にリールへ変換される仕組みが導入される。これに伴いナビゲーションバーの「Video」タブは「Reels」タブへ改称され、ユーザーは一本化されたクリエイティブツールを使って編集・投稿を行うことになるだろう。

背後には、インスタグラムが2022年に先行させた動画フォーマット統合の成功体験がある。フェイスブックも同様に体験の一貫性を高め、アルゴリズムの最適化を図ろうとしているわけだ。これまでリールはフィード投稿よりも高いリーチを生む傾向があった。フォーマット統合によって、投稿者が従来より幅広いオーディエンスへ動画を届けられる可能性が高まる。

もちろん懸念もある。リールは本来ショート動画の文脈で誕生した機能であり、横長や長尺のコンテンツが混在すれば、テンポ重視の“短尺らしさ”が薄まるおそれがある。一方で広告主にとっては、出稿フォーマットが一本化されるため運用負担が軽くなり、既存のオーガニック動画をそのまま広告へ転用しやすくなる利点がある。

アップデートは今後数か月をかけて段階的に展開される見込みである。実装後は投稿時にオーディエンス設定の確認プロンプトが表示されるなど、ユーザー体験の混乱を抑える措置も導入されるという。

フェイスブックは近年、友人同士の交流に特化した「友達タブ」の強化やインターフェースの刷新など、プラットフォームの再定義を進めてきた。今回の動画統合は、その流れを加速させるもう一つのピースに違いない。映像コンテンツを軸とした競争は激しさを増しており、ショート動画とロング動画の垣根を取り払う戦略が功を奏するのか注目どころだ。