米AIスタートアップのAnthropicは、今年秋にも東京にオフィスを構え、アジアでの本格展開をスタートさせる。これは同社にとって初めてのアジア拠点で、日本法人の設立と合わせて生成AI「Claude」の日本語版を投入し、営業・サポート体制を整える狙いだ。
同社はこれまで北米の大手企業を中心に顧客基盤を広げてきたが、日本では大企業の導入ニーズが想定以上に高まっているらしく、人手不足や業務効率化の要請が強まるなか、大規模な文書処理やコード生成に強いClaudeを活用し、社内業務の自動化やサービス開発の迅速化を図る企業が増えている。こうした背景からオフィス開設に踏み切ったのだろう。
今後提供される日本語版は日本向けにローカライズされ、最新モデル「Claude Opus 4」「Sonnet 4」による長文推論や高度なコーディング支援も日本語環境でそのまま利用でき、導入障壁を下げるとともに利用シーンの拡大を狙う。
生成AI市場ではOpenAIがすでに都内拠点を持ち、国内外のスタートアップも参入が相次ぐ。Anthropicは「安全性」と「長文処理能力」を前面に押し出し、日本企業の厳しいセキュリティ要件にも応えながら差別化を図る構えだ。
国内市場に投入される日本語版Claudeが、競争の激しい生成AI分野でどれほどのインパクトを与えるのか。今秋の正式オープンと同時に、企業導入の加速とエコシステム形成がどこまで進むかが注目される。